折上先生の静かな世界

北の大地で臨床7年目歯科医師です。

2√3の男

大学生の時、いつものメンバーで飲んだ後に友達の家に流れ着いてダラダラお酒を飲みながら話していると

A「そういえば、今年の大学の入試問題が良問だったよ」

この発言をするやつもどうかとは思うが

B「え、なに、どんな問題?」

A「これなんだけど」

B「‥」

2分後

B「2√3」

A「えっ‥合ってるけど‥なんで?」

ということがあった。

図形の体積を求める問題だったが、座標軸を決めて、それぞれのポイントを座標に落として‥みたいな問題だったはずだ。

彼は、僕らに解答に至った経緯を説明するために紙にペンで問題の図を書き始めた。

そして、おもむろに線を一本引いた。

「この線を引くと、ここがこうなって、こうで‥だから2√3」

この解答方法は赤本には載っていなかったが、明らかにこちらの解答の方がスマートだった。

 

その彼が、先日結婚した。

誰もが知っている大手企業に勤務し将来を嘱望されていた彼は、結婚式を控えた今年春に会社を辞めた。

結婚式には元上司や元同僚が多数。

普通の人間はこうは生きないだろう。

でもきっと誰もがわからない難問に対して、彼は見つけてしまったのだと思う。

自分にしか見つけられない一本線。

 

その彼は、結婚式の誓いで、毎日皿を洗うことを声高らかに宣言していた。

平凡な誓いだった。

凡才が天才に憧れるように、天才は凡才に憧れるのだろう。

普通の人間になりたい、という宣言のようで、結婚さえすれば普通になれると言わんばかりだった。

変わったなあと思ったし、ああこれが大人になるってことなんだなあと思い、大人とはつまらないものだなあと思った。

多分、彼は大人にはならない(なれない?)と思うけど。

彼らしい良い結婚式でした。

 

結婚おめでとう。